
夏休みにはお子さんとプールや公園などに出かけたり、自転車に乗ったりする機会が多くなると思います。
何も事故が起こらなければいいのですが、遊んでいる中で友達にけがをさせてしまったり、自転車や車と接触する等の事故が起こってしまった場合にはどのように解決しなければならないのか?
弁護士である筆者が、実際の相談事例をもとに解説したいと思います。
▼一緒に遊んでいた友達をけがさせてしまった場合
遊びに夢中になっている中で誰かがけがをしてしまうことはよくあることです。転んでひざを擦りむいた程度であればいいのですが、過去には骨折や失明、そして最悪の場合には亡くなった事例もあります。
●賠償義務が発生しないケース
裁判例では、広い場所での鬼ごっこなど、危険性の少ない通常の遊び方から生じたけがについては相手のお子さんに生じた損害(けがの治療費など)の賠償義務が否定されています。
実際にも、球技が許されているグラウンド内でのけがにつき、ご両親同士の話合いで円満に解決したケースがあります。
●損害賠償義務が発生するケース
他方、球技が許されていない公園でキャッチボールを行い、ボールを受けそこなったお子さんが亡くなってしまったケースや、射的銃で友達を撃って失明させてしまったケースなど、危険な遊びから生じたけがについては損害賠償義務が肯定されます。
損害賠償義務が肯定されるケースの場合に賠償義務を負うのは誰かといいますと、概ねお子さんが小学生以下の場合は両親(監督義務者)になります。
ただし、実際にはお子さんが中学生や高校生であっても両親が窓口となって治療費その他の支払いについて話合いを行うのが通常ですね。
▼自転車や車と接触するなどの事故の場合

自転車事故の場合、自転車の運転手が子どもであっても大人と同じように過失の有無・過失割合の程度によって損害賠償義務の有無や物損・人損の双方につき支払額が決まります。
そして、お子さんが小学生以下の場合に賠償義務を負うのは両親(監督義務者)という点は上記と同様です。
軽い物損の場合であれば両親が修理代を支払って終わりとなるケースが多いですが、お子さんが歩行者や他の自転車と接触してけがを負わせてしまったときは賠償額が高額になることもあり、自転車保険(特約)に入っていない場合は揉めて長引くこともままあります。
▼任意保険(特約)の種類

遊んでいて友だちをけがさせてしまった場合も、自転車事故を起こしてしまった場合も、任意保険に入っていなければ多くの場合は両親の自己負担となってしまいます。
両親が自動車保険に入っていることは多いですが、自転車事故を含むお子さんの事故の場合は個人賠償責任保険(個人賠償責任補償特約)に加入していなければ保険金は支払われないことに注意が必要です。
また、保険によっては個人賠償責任保険だけではなく自転車傷害特約に加入していなければお子さん自身の入院やけがの保障を受けられないこともあるのでこの点も確認しなければいけませんね。
また、最近は自動車保険には弁護士費用特約が附帯していることがほとんどですが、自転車対歩行者、自転車対自転車の場合には弁護士費用特約が使えないこともありますので、別途日常事故弁護士費用特約に加入しておいたほうがよいかを検討してもいいと思います。
筆者が弁護士だからというのもありますが、お子さんが他人をけがさせてしまった場合に保険に入っていないと、問題が長引いたり支払いたくても支払えなかったりする状況に陥る方をまずまずの頻度で見ています。
可能性は低いとはいえ、お子さん自身に心の傷を残させないためにも、夏休み直前のこの機会に普段の注意指導や保険加入の有無を見直してみるといいかもしれません。
【画像】
※ Sasenki、Peter Hansen、 Tashatuvango / Shutterstock
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